経鼻(鼻から挿入する)胃カメラとは
胃、十二指腸の疾患を多くもつ日本人にとって胃カメラは有用です。
しかし胃カメラの挿入時の痛みや吐き気のため敬遠されがちなことも事実です。
胃カメラで苦痛を感じるのは何故なのでしょうか。
一番多く聞かれるのは"おえーっ”という吐き気でしょう。特に30歳台以下の方は吐き気を強く感じられます。
ここでは、苦痛を誘発するメカニズムを説明してみましょう。
下図は左が経口、右が経鼻のカメラが挿入されるルートです。
口の奥にある経口のルートですとどうしても舌根(舌の付け根)にカメラが当たり吐き気を誘発します。
いわば吐き気のスイッチを入れてしまうのです。
経口胃カメラが挿入されるルート
経鼻胃カメラが挿入されるルート
感覚や痛みの度合いにはすべて個人差があり、経口カメラでも吐き気を全く催さない方もいますが、吐き気が強く鎮静剤で意識がない状態にしなくては胃カメラの検査をうけることができない方もおられます。特に若い方にその傾向が強いのです。
鎮静剤を使えば検査中の苦痛はほとんど記憶に残りませんが、鎮静剤に対する解毒剤を投与しても完全に覚めるまでに2、3時間から6時間ほどかかってしまい、しばらくボーッとしたりふらついてしまうという欠点があります。当院では経鼻胃カメラを開始するまでは、挿入時の操作をできるだけ丁寧にしたり、ご希望をお聞きして積極的に鎮静剤を使用し苦痛の軽減に努めてきました。それはそれで大変ご好評をいただきましたが、鎮静剤を使用する不安はぬぐえませんでした。
経鼻胃カメラは従来の経口(口から挿入する)の胃カメラに比べて格段に苦痛が軽減されます。鎮静剤の使用は経鼻胃カメラになってからは700例で3例のみでした。
現在ほとんどの方で経鼻胃カメラを試みています。約9割の方で経鼻での挿入が可能となっています。当院のオリンパス製の胃カメラは本体の直径が5.2mmと世界で最も細いものです。経鼻胃カメラをほとんどの方は吐き気を感じられず軽い鼻の痛みがあっただけだと感想を述べられます。経口胃カメラを経験したことのある方の9割が次回から経鼻でして欲しいと言っていただいています。
経鼻胃カメラの利点をまとめますと。
1.苦痛がすくない。
2.検査中苦痛がないので、特に希望されない場合を除いてモニターでご自分の胃の状態をじっくり確認していただけます。
3.経口胃カメラではプラスチック製のマウスピースを歯で固定しつつ検査をするため会話ができませんでした。経鼻胃カメラでは会話をしながら検査を進めますので安心感が生まれます。
4.経口胃カメラでは溜まった唾液を口元から垂れ流すしかなかったので、気管に吸い込んでむせてしまうことがよく見受けられました。経鼻胃カメラでは溜まった唾液をご自分でティッシュに取っていただけるのでむせることも減ったのです。
5.経鼻胃カメラは鼻の麻酔にやや時間を要します。しかし、ゲーゲーすることが減ったために改めて何度も胃に空気を送り込む必要がなくなり、結果的には胃カメラを挿入している時間は短縮されることが判りました。検査時間は、平均で2、3分間程です。
一方、欠点を挙げますと
1.鼻中隔という骨の変形や鼻の炎症をお持ちの方、体格の小さい方は鼻の中が狭くなっていることがあり鼻からはカメラを挿入できないことがあります。
2.50人に1人くらいの割合で鼻血が出ることがあります。検査前の麻酔の際に止血剤を併用しますので短時間で止まります。
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胃カメラは辛いので遠慮したいという方は是非、一度鼻からの胃カメラを体験して下さい。
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